医療漫談で知られる、タレントのケーシー高峰さんが8日に肺気腫のため死去した。
かつて、私にとっては「染之助 染太郎」と共に、お正月のテレビ番組には欠かせない存在の一人だった。
整形外科医でバラエティ番組が好きではなかった私の父が、チャンネルを変えずに笑いながら見ていた数少ないタレントの一人でもあった。
ケーシー高峰さんをテレビで最後に見たのは、昨年の1月頃だったかな?・・・東北の豪雪地帯からの中継だったような気がするけれど、久しぶりに見たケーシーさんはお元気そうだったけれど、極寒の中で震えておられた姿を目にした時は「いくらなんでも80歳を過ぎているのだから、テレビ番組(局)も少しは考えろ!」と憤りを覚えた事を記憶している。
それでも最後までやりきったケーシーさん・・・さすがプロでした。
肺気腫は、終末細気管支よりも抹消側(気管支よりもさらに奥側という意味)の、空気が溜まる部分が膨張してしまっている状態。そこには空気が余分に溜まってしまっている状態の病気。
<メディカルノート(https://medicalnote.jp)より一部抜粋 → 「鼻や口から吸い込んだ空気は、気管や気管支を経て肺へと送り込まれます。肺の中でも、空気の最終到着地点にあたる部位を肺胞はいほうと呼びます。肺胞はブドウの房のような形をしており、一つひとつの小さい部屋に分かれています。その部屋にはそれぞれ空気が含まれており、酸素が血液中に取り込まれたり、二酸化炭素が排出されたりといった呼吸機能を果たしています。しかし、肺気腫では一つひとつの部屋のあいだの仕切りの壁が壊れてしまい、小さい部屋同士が空間的なつながりを持つようになっています。」>
中年以降の男性に多く、原因の多くは喫煙。また、遺伝的要因も考えられている
症状は労作時呼吸苦(少しの動作でも呼吸が苦しくなる)、呼気性呼吸困難(呼吸の際、普通に息を吸える場、吐くのが困難)、呼気延長(息を吐くのが困難になるから、吐き出すのに時間がかかる)、口すぼめ呼吸(呼気時に唇をすぼめ)、樽状胸、肩呼吸、喘鳴ぜんめい(呼吸時にヒューヒューと音がする)など。
さらに、症状が悪化すると太鼓ばち指、チアノーゼが生じることもある。さらに進行すると右心不全(肺性心)、呼吸不全状態になることもある。
肺に閉塞性変化をもたらし、1秒率低下(全呼気量うち、1秒間の呼気量割合が70%を下回る。すなわち1秒量が低下)。残気率増加(息を吐けないため、肺に残る空気量が増えて残気量増加)。
打診では鼓音になり、X線検査では肺の過膨張(上述した通り、終末細気管支よりも抹消側に空気が多く溜まるため)、横隔膜の平低下などがみられる。
喫煙者には禁煙をすすめ、呼吸訓練(口すぼめ呼吸も練習のひとつになる)、薬物治療、酸素療法、肺の減量療法などがある。
なお、呼吸困難な状態になっている時に、高濃度酸素の投与はCO2ナルコーシスを起こす危険性がある。CO2ナルコーシスとは、二酸化炭素(CO2)には呼吸中枢を抑制する作用があり、肺気腫や慢性呼吸不全の患者に高濃度酸素を投与すると「低酸素の呼吸刺激」がなくなって、「CO2排出」が出来なくなる。
その結果、呼吸困難や呼吸性アシドーシス(「二酸化炭素が多い状態」の意味で、酸塩基平衡の調整が乱れ、血中CO2濃度が正常よりも高くなり、pHが低下している状態のこと)を招いて意識消失を起こすことがある。
高齢者にとって呼吸器疾患は命取りになりうる。「少しカゼ気味」の症状でも油断は禁物。また、嚥下がうまくできないと、誤嚥性肺炎の原因にもなる。高齢者には、少し過剰なぐらいになってでも、アドバイスしてあげると良いと思っている。
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