美容鍼、美顔鍼・・・美容を目的とした顔面部への鍼施術の呼び方で知られています。
「鍼治療には興味ないけれど、美容鍼は試してみたい」という声を聞きます。美容鍼の効果について筆者の考え方を紹介します。
まずは「ありえない2つ」です。
ひとつには「骨格に影響は及ぼす」です。
最近は見られなくなりましたが、数年前にあたかも「骨格の矯正」を連想させる宣伝文句をうたっていた鍼灸治療院をネットで見つけた時には、驚きと憤りをおぼえたことを記憶しています。
次に「痛くない」です。
「痛みの感覚」は本人にしか分からない感覚で、しかも個人差が大きいものです。
「(無駄な)痛みを生じさえないように努める」は施術者として当然のことですが、広告宣伝とはいえ施術者が「無痛」と断言するのはいかがなものでしょうか。
仮に「刺さない鍼」を使うとしても、宣伝文句としては適切でないと筆者は考えます。
つづいて「ありえる2つ」を紹介します。
第一に施術後の「すっきり」「もちもち」「つやつや」といった肌の感覚の変化です。
患者さんの声や筆者自身が実感した感覚をあえて抽象的に表現してみました。
終わった直後はもちろん、入浴後や翌朝などの洗顔後や化粧水を塗った時にあらためて実感していただけるでしょう。
血液やリンパの流れが良くなることで、外見的にも「すっきりした」「顎の周りがシュッとした」といった感想も聞かれます。
次に「年齢を重ねている女性」「男性」にもおすすめということです。
最近は男性もスキンケアの意識が高まっているような気がします。とはいっっても「男がスキンケアなんて・・・」という人が少なくないのも事実ではないでしょうか。
女性の場合、特に年齢を重ねておられる方は「今さら美容鍼なんかやっても・・・」という人がいます。
しかし、男性や年齢を重ねている人の方が、施術効果を期待できるのではないかと考えております。
美容鍼で期待出来る効果の中には「筋緊張緩和」「血液やリンパの流れや細胞の活性化」があります。これらは日頃からこまめにメンテナンスをされていない方や年齢を重ねておられる方にこそ有益ではないかと筆者は考えています。
日本における美容鍼の歴史はまだ浅いです。
当院がある荻窪においても、4年ぐらい前までは美容鍼を施術メニューに入れている治療院は、今ほど多くありませんでした。また、美容鍼に対して否定的な意見を述べる鍼師も少なくありませんでした。
美容鍼で期待出来る効果が科学的には証明されないものがあるのも事実です。また、術式と効果の定義が科学的あるいは医学的にあるわけでもありません。
現在のところ、何をもって「期待出来る効果」と言えるかは医学の古今東西をふくめ、知識と技術と経験にもとづく施術者の考え方と治療方針にゆだねられるのではないでしょうか。
それだけに患者さんあるいはお客さんが「効果があった」「受けてよかった」「また来よう」と感じてもらえるような施術を提供することが大切だと筆者は考えています。
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