日本が世界に誇る体操の内村航平選手が肩を痛め、群馬県で開催されいてる体操・全日本選手権の男子個人総合で予選落ちしたと、多くのメディアが報じた。
26日の夕方にネット掲載されたスポニチアネックスの報道によると「昨秋の世界選手権後に左肩を痛め、今年に入って右肩にも痛みが出た」とのこと。今大会は10月にドイツで開催される世界選手権の代表選考会も兼ねているとのことだが、個人的には世界選手権よりも来年の東京五輪での勇士を観たい。
スポーツによって鍛える筋肉、柔軟性を高める筋肉や関節の部位が違う。そして、あまり必要としない筋肉はつけない方が良いのである。
そんななかで体操は、全身の筋肉をくまなくバランス良く強化しつつ、すべての関節を柔軟にさせなければならないという面では、数少ないスポーツではないだろうか。
体操競技には床、跳馬、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、平均台、鉄棒などがあり、パワーだけではなく芸術性も求められる。
四肢の筋肉、腹筋、背筋、後頭下筋群などまさに人間がもつすべての運動器の可動性を最大化させなければ戦えない、究極のスポーツといえる。
床において特に負荷がかかるであろう部位は下肢と腰であろう。床の素材と構造は、競技に合わせた特殊なものだから一般の床とはちがって負荷がかかりにくいとはいえ・・・さらに、ひねりの動作は腰に負荷をかける。
跳馬も床どうように下肢と腰への負担が大きい。飛び上がった最高点から着地点までの落差が大きいため、衝撃も大きくなる。その分、着地地点のクッション性を高めていることからも分かるだろう。
平行棒、平均台、鉄棒になると、他のスポーツと明らかに違う要素がある。
それは、重力や勢いある推進力に抗して”ピタッ”と止める姿勢保持。何かしらスポーツをしていた人ならば分かるだろうが、運動を途中で止めるだけでも精いっぱいで、さらにそのまま保持するというのは、肩、肘、手首、上肢の筋肉と関節・・・あらゆる運動器に大きな負荷がかかるものだ。
さらに、鉄の棒をにぎるために防具を装着しているとはいえ、指や手根骨にも負荷がかかる。
内村選手は30歳になるという。くやしいけれども肉体の衰えは、万人に平等である。それでも内村選手はまさに超人の域ではないだろうか。
東京五輪、男子体操の代表選考基準は知らないが、もしも内村選手に限ってでもよいから、世界選手権の影響がある程度見逃してもらえるのであれば、是非とも内村選手には東京五輪に焦点を合わせた調整をして欲しいと願う。
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