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機能性身体症候群(FSS)、はり治療を考察

 機能性身体症候群とは、身体的または器質的に明確な原因が確認できないものの、日常生活に支障をきたすさまざまな症状があらわれる症候群の総称として提唱された概念です。

 

 専門書や専門サイトの説明は難しくて分かりにくいため、患者さんに分かりやすく説明するつもりで噛み砕いたつもりですが・・・機能性身体症候群(FSS)の概念に該当するとされる病名には・・・

 

 慢性腰背部痛、慢性疲労症候群、顎関節症、慢性化した頸椎捻挫(ムチウチ症)、緊張型頭痛、機能性胃腸症、心身症、疼痛性障害、筋繊維痛症、過敏性腸症候群・・・その他。

 

 いずれも概ね痛みを伴う症候が多いととらえてもらっていいでしょう。さらに、日常的に痛みを伴うことから不安感や抑うつ感なども伴いやすことも特徴にある。 

 

 鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師が患者さんに行う問診において、機能性身体症候群(FSS)の疑いを推察する手立ては患者さんからの情報(愁訴の詳細)しかありません。

 

 では、どのような訴えかというと。

 

 腰や肩など異なる部位に痛みが生じたり、強い疲労感などである。また、便秘や眩暈などを訴えることもあるという。

 

 鍼灸の治療を受ける患者さんの愁訴としては、とても多い症状といえ、機能性身体症候群(FSS)は東洋医学的な病態把握で治療方針を立てるのに適していると考えます。

  

 東洋医学的に考える・・・すなわち陰陽、蔵象、臓腑、気血津液、三因、虚実、正邪・・・その他。自然哲学の思想で人体を小宇宙ととらえ、人体のバランス調整をはかり、自然治癒力や免疫力を高めることを治療方針にします。

 

 東洋医学特有の聞き慣れない言葉が並ぶと、オカルト的とかスピリチュアル的と受け取られそうですが、鍼・灸・あん摩マッサージ指圧師になるためには、国家試験が必要です。東洋医学は「医学」として日本で認められている証であり、決して怪しい医学的学問などではありません。

 

 身体の不調を訴える時、特に「何となく」「気づいたら」といった具体に、特に思い当たるきっかけがないような愁訴の場合には、鍼・灸・あん摩マッサージ指圧の治療も検討してみてはいかがでしょうか。

 

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※リライト:2021/08/05