2020年東京オリンピックの観戦チケットの「抽選申し込み」受付が今日から始まる。開催まで1年以上あるが、ここまでくると「いよいよ」といった感じで、楽しみにしている人も多いだろう。
チケットを手にするには段階を踏まなくてはならないようだ。公式サイトを見たが今一つ分かりずらい。また、チケットを入手したが何かしらの理由で転売する人のための「公式リセールサービス」なるものまであるようだが、これまたよく分からない。
ネット社会になって便利になった反面、さまざまな問題や事件が生じているからだろうか、”用心用心”で手間がかかる仕組みが増えてきていると痛感。
東京オリンピックでは、はり師、きゅう師もサポートする方向で計画が進んでいる。
公益社団法人 日本鍼灸師会は「本会は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から正式に依頼を受け、組織委員会が設置する選手村内の医療施設等で活動するスポーツマッサージ・鍼療法スタッフについて、募集を支援することとなりました~以下、省略」(同会の公式HP掲載分の一部を転載)と発表し、今年1月に約3週間にわたって鍼灸師の募集を行った。
これは鍼灸業界にとっては歴史的であり大変喜ばしいことである。なぜなら、日本国が世界中のトップアスリートに対する日本の医療行為として、はり師、きゅう師による治療を公認したことの証明なのだ。
はり師、きゅう師は国家資格者だから、あえてそのようなアピールは必要がないとはいえ、一般的に治療としての社会認知は低いのが現状であり、まして医師の中には、はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧を治療と認めないという考えの人も少なくない。
あまり知られていないのが、トップアスリートやスポーツチームの専属トレーナーに、はり師やきゅう師やあん摩マッサージ指圧師が意外に多い事である。
理由の一つと言われているのがドーピングの問題である。
特にオリンピックなどの国際競技におけるドーピング検査の厳しさは尋常ではないそうである。医師が注意を払ったうえで処方した薬に、検査対処にひっかかる成分が含まれていたら一発でアウトだ。実際にそういう事態がニュースになったこともある。
コンディションやバランスの調整、痛みや疲労の緩和を目的にするのであれば、はり・きゅうはドーピングでひっかかる心配が全くない。理学療法士やスポーツトレーナーや柔道整復師らと絶対的に違うのは、人体の表層から奥深くの筋肉の組織や器官などを、直接的に施術できることである。
スポーツ界における、はり師、きゅう師の活躍というと、読売巨人軍を思い浮かぶ人もいるのではないだろうか。たとえば、「澤村氏の長胸神経麻痺報道」「江川氏の、はり治療で引退報道」「槙原氏の気胸」。日本を代表するプロ野球チームと選手だけに、報道直後の業界に対するマイナスのイメージは計り知れない(その後、一部の報道については、表現の修正・撤回がされた)
医師とはり師に許される行為とは、人体に意図的に傷をつけることである。非常に乱暴で怖い表現であるが、治療手段として許された行為の表現としては間違いない。
それだけに、はり師は解剖学や生理学や皮膚科学を勉強している。さらに医師においては、人体と健康を知り尽くしたうえで治療行為を行う頂点に君臨する立場にいるのだ。
「はり師はツボは勉強しても現代医学を学んでいない」という人が未だにいるが、医師にはおよばぬとはいえ、テレビの健康番組のテーマや医師のコメントレベルでは国家試験にすら合格できない。それぐらい一般の人とは比較にならないぐらいの専門的な勉強は必須なのである。当然と言えば当然の話だ。
オリンピックにおける選手たちの活躍はもちろん、同業者としてはり師、きゅう師らにおいては、臆することなく治療をしていただき、日本の鍼灸(はり・きゅう、しんきゅう)を世界に発信してもらいたい。そして何よりも、日本の人々に治療としてのはり、きゅうに対する認知を深めてもらえるきっかけになってほしいと願う。
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