美容鍼や顔面部のマッサージにおいて、施術者は表情筋の働きを理解しているものです。
ツボ(経穴)の位置や神経走行などに主眼を置く治療方針のもと、鍼の刺鍼深度を真皮あるいは皮下組織までにとどめる術式もありますが、それでも筋肉のおよその位置や働きを念頭に入れているものです。
頭・顔面部の筋肉は主に咀嚼筋と表情筋に分類されます。表情筋は骨格筋のように骨と骨をつなげているわけではないのが特徴のひとつです。
表情筋が働くことにより、皮膚をひっぱったりゆるめたりしてさまざまな表情が作られます。
美容鍼やフェイシャルマッサージの施術対象として特にかかせない表情筋には大・小頬骨筋、頬筋、笑筋、口輪筋、眼輪筋、前頭筋などがあります。
「いい笑顔をしている」なんて言われる人には、口角がきれいに上がる方が多いような気がします。
口角を上げやすくするには、大・小頬骨筋や頬筋、笑筋、口輪筋を意識した施術がポイントになります。あわせてこれらの筋は、ほうれい線が気になる人への施術部位としても適していると考えられています。
表情筋はほとんどは抗重力筋です。抗重力筋とは文字通り、重力に対抗する働きをするもので、方向性でいうと地面の方向に落ちないように作用するものです。
美容鍼の場合、鍼を刺す深さがポイントになります。施術者の考え方(治療方針)もさまざまで、皮下組織ぐらいまでの1〜2ミリ程度にとどめる術式もあれば、筋層まで到達させるようにするものもあります。
どちらが効果的とか正しいといったことではなく、施術者には治療方針やメリット、デメリットを患者さんに説明できるだけの知識と経験が求められると考えています。
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*リライト:2020年1月22日