肩関節の可動域障害、手の示指・中指・親指(小指側半分)、薬指(親指側半分)に痛みやシビレが生じる正中神経の絞扼性障害である手根管症候群、手の小指と薬指(小指側半分)の感覚と前腕の尺側(小指側)の感覚障害、手の巧緻運動(こまかい動き)がしづらくなるなどの尺骨神経障害が生じる肘部管症候群などの症状の疑いをスクリーニングする検査方法がシーフテストである。
各々をより特異的にスクリーニングする検査方法はあるが、シーフテストはあくまでも”ざっくり”とした検査。献血ルームは治療をする場所ではないため、ざっくりの検査で通用する環境にある。
献血ルームでは数年前からシーフテストを導入し、血液提供者の腕の状態を確認することで穿刺によるリスク軽減をはかっている。
どうような動作かというと、両腕の肘を伸ばしたまま、両腕を真横に水平になるように上げたところで、肘だけを曲げて指先が肩の上につく姿勢をとる。そのまま状態を約30秒キープするのだが、その間または30秒経過した時点で肩や腕や手にシビレやダルさや痛みが生じないかを確認する。
このテストで分かることは病態というよりも、検査時点における「肩を含めた腕の健康状態」程度で考えればよい。
なぜなら、疑われる疾患別による病態の検査ならばティネル徴候、ファーレンテスト、フローマンテスト、パーフェクト0、ティアドロップなどの検査法があるからだ。シーフテストの場合は、一つの動作だけで「とりあえず、腕に何かしらの兆候がありそうだ」ぐらいのチェックが出来る。
シーフテストの目的は、肩や腕や手に不調を自覚していない人でも血液採取の穿刺がきっかけで、神経障害が顕在化することがあるため、症状の発症リスクを軽減しようとすることにある。ただし、あくまでも目安なのでシーフテストでひっかからなければ絶対に神経障害が生じないというものでもない。
単なる穿刺による痛みや残痛感であれば、概ね穿刺部周囲の局所的なものだが、穿刺後に肩から指先にかけての違和感があれば、それは潜在的に何かしらの要因があった可能性があるということになる。
シーフテストはとても簡単なので、日頃からセルフチェックに加えてみてもいいだろう。
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