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勃起不全(ED)と鍼灸治療

 不妊の原因は女性ばかりに問題があるかのようにとらわれがちですが、半分は男性側に原因があるという研究報告があります。

 

 勃起不全(ED)は性機能障害のひとつで、かつてはインポテンツと呼ばれていましたが、現在はEDと呼ばれることが一般的です。

 

 性にかかわる問題や障害はデリケートなものであり、当事者にしてみれば触れられたくないものだったりします。日本におけるED患者数は、糖尿病や高血圧症よりも多いのではないかという推察がされていることはあまり知られていません。

 

 勃起は視覚、聴覚、臭覚などの感覚だけではなく空想もきっかけになります。大脳皮質が興奮すると、この興奮が脊髄の勃起神経に伝達し、一酸化窒素(NO)が陰茎の海綿体平滑筋に作用して平滑筋が緩むことで血液が流入します。

 

 ある程度の血液が流入すると、陰茎海綿体の白膜が引き伸ばされて静脈が閉塞します。すなわち、海綿体に血液が貯留された充血状態になると考えられています。

 

 EDは機能性、器質性、混合性に分類できます。

 

 機能性には心因性、精神性があり、ストレスなどの心理社会的要因であったり、うつ病や精神疾患などにともなう服用薬が影響する場合もあると考えられています。

 

 基質性には陰茎性、血管性、神経性、内分泌性などがあります。陰茎性とはおもに事故などにより陰茎が損傷された場合に生じることで、血管性は主に動脈硬化などがあると言われています。神経性はさらに中枢性あるいは末梢性に分類されます。

 

 混合性というものがありますが、これは一般に心因性と器質性が混在する場合をさすと言われています。

 

 薬物の作用が関わっていると考えられている疾患には前立腺肥大、胃の疾患、血圧降下剤が処方される疾患などが考えられます。

 

 鍼灸治療においても、EDの治療についての古典的、東洋医学的なとらえ方が存在します。

 

 たとえば経脈で考えると足の厥陰肝経の陰気が弱まり筋を損傷するという考え方があります。

 

 また、経筋での捉え方では、足の厥陰肝経がかかわると考えられます。厥陰肝経を治療対象の経脈ととらえた場合、足の親指のから内踝前にかけて痛みが生じるともいわれています。

 

 さらに筋肉が萎縮したり弱まる痿論でとらえると、宗筋の弱まりが原因と考えられるといいます。宗筋とは前陰(恥骨部分)で十二経筋が集まった部分のことで、解剖・生理学的には平滑筋になる部分と解釈する人もいます。

 

 西洋医学と東洋医学的に共通しているのはストレスや血の問題ではないでしょうか。すなわち、肝・脾・腎を補うことを治療方針にしてはどうかというのが私の考えです。

 

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*リライト:2020年2月21日