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腰痛, 肩こりをデルマトームで考える

 医療関係従事者ならば、誰でも一度は聞いた(習った)事があるデルマトームですが、鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師は臨床においても頻繁に参考にされている先生が多いでしょう。

 

 特に治療方針を現代医学的に主眼を置いている鍼灸師は、なおさら把握されているはずです。

 

 デルマトームとは神経が支配する皮膚知覚の領域を示すものです。


    たとえば、一般に「上肢」といえば肩から手の指先までで一括りにしますが、感覚や運動を司る神経は「肩まわり」「上腕から前腕にかけて」「中指」など、こまかくわかれているのです。

 

 そして、部位の反応によって司る神経が脊椎のどこから出ているかを推測する参考にできるのです。

 

 文字だけではピンとこないでしょうから、ネットで「デルマトーム」を検索するとさまざまな図が見つかります。

 

 なお、デルマトームの図は絶対的なものではなく、研究調査した先生によって何種類か存在しますし、個人差もあるといわれていることに注意して下さい。

 

 鍼治療におけるデルマトームを参考にした治療方法の一つに「神経パルス」あるいは「神経根パルス」などと呼ばれるものがあります。

 

 例えば腰痛で腰椎3/4 ,4/5、 腰椎5/仙椎1などに疑いの眼を向けて、脊椎棘突起間や脊椎際などに刺鍼して、神経根に電気刺激を送るのです。神経に鍼を直接あてるのではなく神経の傍に電気を流すのです。

 

 どういう効果が期待出来るかというと、痛みの感じやすさ(閾値:いきち)を高める目的があります。


    痛みを感じやすいということは、いいかえれば神経が反応しやすくなっている状態ともとれます。そこで、意図的に刺激を与える事で感覚を慣れさせるのです。

 

 ちなみに神経根が障害され、筋や腱などの運動に影響している事があります。電気刺激によって強制的に筋収縮を誘発させることで運動作用と血行促進を促す効果の期待があります。

 

 筋収縮をおこさせて運動をさせる場合には、筋肉繊維に鍼を刺して通電させるよりも施術後の疲労感が楽に感じられるメリットがあります。

 

 デルマトームの図を見ながら、痛む部分や痛み方と神経走行を考えると、過去に受けた怪我など思い当たることがあるかもしれません。

 

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