鍼治療の効果については、科学的に裏付け出来ているものと出来ていないものがあり、出来ていないものの方が多いです。とはいっても、現代医療ですら何もかも解明されているわけではありません。
鍼治療の効果を語るうえで外せないことのひとつに「軸索反射」というものがあります。
鍼や灸をすると、その皮膚の部分だけが赤くなります。これは出血しているのではなく、血管が拡張する「フレアー現象」というもので、軸索反射によって出現するものです。
鍼や灸によって局所的に血液の循環が促進され、ブラジキニンやプロスタグランジンといった痛覚に関与する物質を洗い流すのです。それはすなわち、痛みの感覚を軽減させることになるのです。
さらに人によっては皮膚の発赤にくわえて、柔らかくなったりサラサラになります。これらはいずれも、皮膚に分布する交感神経を抑制している反応になります。
施術を行った直後に生じる効果は即時効果というもので、鍼灸は主にこの部分に強みがあるとされています。即時効果は広汎性侵害抑制調節という作用機序が関与するといわれています。
その広汎性侵害抑制調節とは、痛みや熱いとか冷たいと言った温度の感覚を脳へ伝える経路である脊髄の後角という部分において、皮膚で受信した温度や痛みの信号によって興奮している神経伝達の反応が、皮膚や筋や内臓に与えられた鍼や灸による侵害刺激によって抑制される現象をいいます。
痛みの感覚を抑制したり感じにくくする作用はいくつもの作用が確認されているものの、未だに解明されていない事は多いとされています。そういう観点からも、一概に鍼灸を「非科学的」と論じるのはいかがなものかと、少し残念な気分になってしまいます。
鍼や灸をして発赤したら、体が治そうと作用しているのだと、正常な反応の証でもあるのです。
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