人体を覆う皮膚は、体重の約16%にもおよぶ人体最大の臓器です。
手に触れることができるいわゆる皮膚が最も表層の「表皮」と呼ばれる部分で、個人差はあるものの厚さは約0.2mmぐらいになります。
表皮を構成する細胞のうち角化細胞が約95%をしめています。表皮は外側(表層)から「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に大きく分類され、角化細胞は基底層から段階的に角層へ移行しているのです。
美容鍼で期待する効果の対象として皮膚のターンオーバーの促進があります。ターンオーバーは基底細胞という細胞が分裂して娘細胞が生成されて角層まで到達した後に皮膚表面で脱落するまでをさします。大ざっぱにいうと「皮膚の入れ替わり」のことです。
年齢を重ねると徐々にターンオーバーが長くなります。「長くなる」とはすなわち、基底層から角層で脱落するまでの時間が長くなるということで、個人差や研究報告によっても若干違いますが、おおむね20歳代では1か月前後、30~40歳代では40日前後と、年齢を重ねると長くなります。
美容鍼では、このターンオーバー促進を促す効果が期待できるといわれています。
角層は角質層とも言って約10層から構成されています。死んだ角化細胞は膜状になって重層化します。剥がれ落ちる段階では”垢(あか)”になっています。
角層の役目は何かというと、水分保持や侵入物に対する防御を行う作用があります。また、角化細胞からはケラチンや脂質などが産生されています。ちなみに、角層に存在する主な脂質にはセラミドとコレステロールがあります。
美容鍼灸における皮膚刺激の理解は表皮と角層に重きがおかれていると考えています。美容鍼による期待する効果の理論や術式は、治療院や施術者によって異なりますが、角層に与える刺激という観点で違いはないと考えているためです。
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