バランスをとりながら立ったり座ったりといった動作は、あらゆる神経の絶妙な調整のもとで行われています。
目は物を見るだけではなく、水平をチェックするためにも作用しています。耳は音を聞くだけでなく、内耳という部分には相対的位置関係を脳へ伝える前庭器官という部分があります。さらに、筋肉や靭帯や腱には伸展や収縮といったストレスの度合いを脳に伝えるセンサーが備わっています。
これらの情報が脳で統合され、適正な姿勢や動作に必要な情報が運動神経に伝えられるのです。
姿勢には「正常」という絶対的な基準はないとされています。ただ、骨を支持する筋肉・靭帯・腱などの構造において、垂直の同一線上に特定の部位(大転子、膝など)が並ぶな状態を「理想」とする目安のようなものはあります。
一般的に「悪い」と評価される姿勢は、腰痛や肩こりなどさまざま不調を招くひとつと考えられていますが、結論から言ってしまうと年齢、性別、骨格、生活環境、習慣などさまざまな要因が姿勢に影響するため、単純に姿勢の「良し悪し」だけで判断するのはいかがなものかと筆者は思っています。
そして何よりも、骨、筋肉、靭帯、腱などの力学的バランスが大きく影響しているのではないでしょうか。
例えば、右方向に引っ張るチカラが強く働けば、そのまま右方向へ傾いてしまいます。そうならないように、目や内耳や筋肉・腱などの情報をもとに、右方向へ傾きすぎないように調整されます。
すなわち、右方向に荷重過多にならないように、左方向へ引き寄せる力をより強く働かせたり、左方向に傾斜を取る事でバランスを保とうとしているのです。
自分では気がつかず、他人に言われて気づく姿勢の傾きがあります。それは、まさしく何かしらの影響でバランスを崩しているため、体の「センサー」が働くことで、その人にとってのベストな状態になっているといえるのではないでしょうか。
ただし、こういったバランス調整では、さまざまな組織に負荷をかけ、時間経過とともに蓄積すると痛みや不快感などの症状にあらわれることがあります。
運動や体操をしてセルフケアもいいですが、マッサージなどを受けて、客観的に評価してもらったり調整をすることもおすすめです。
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*リライト:2020年5月21日