鍼灸やマッサージの治療を受ける患者さんの愁訴としても「疲れ、だるさ、体が重い」は多いものです。
痛みや痒みなどと同様に、疲労や倦怠感のメカニズムが研究されるようになったのは、医学研究の歴史からみると比較的最近のことだそうです。
特定の疾患を伴わない疲労感や倦怠感は「怠け」などとは違い、ある条件を満たすと「慢性疲労症候群」なる名前がつけられる事もあるそうです。
解明されている原因にはストレスがあります。「何でもかんでもストレスか!?」と思う人も少なくないでしょう。
ただ、一般的にストレスの原因としては「人間関係や社会生活」をイメージしがちですが、病理学的にみると代表的なストレスには「精神的」「身体的」「物理的」「化学的」「生物学的」などさまざまです。
人体はストレスを受けると、ストレスに対抗してバランスを保つために神経系、内分泌系、免疫系が働きます。そういったバランスの乱れが自律神経の乱れに現れると考えられています。
痛みと同じく疲労の感覚は、脳の機能低下が原因のひとつにあるとも考えられています。
治療と予防について、医師の著書や参考書を読んでも「ストレスをためない」「ものごとに固着しない」「ビタミン摂取」「漢方薬が効果的」などさまざまで、これまで筆者が調べたかぎりでは決定的な治療法は確立されていないように見受けられました(とある医療関係者の調査報告によると、内科で疲れやだるさを訴える患者さんの約6割は「原因不明だった」そうです)。
こういった症状の場合、東洋医学を基礎にする鍼灸治療やマッサージを試す価値は大いにあると筆者は考えます。そもそも東洋医学は「人体のバランスを整え、自然治癒力を高める」といった整体観がベースになっているだけに、原因がわからない「不定愁訴」の治療に向いていると考えられているからです。
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*リライト:2020年5月15日