重い頭を支える首には、日常生活の中で常に負荷がかかっています。
とりわけ後頸部の筋肉は重力に抵抗して頭の位置を保持する働きをする、後頭骸下部に付着する筋肉には僧帽筋や肩甲挙筋といった、上肢帯をつり上げる筋肉が付着しています。
スマホ首などでも見られる頭頸部の前傾姿勢では、それら筋肉の持続的な緊張状態となり、頸部や首の痛みを誘発することになると考えられています。
鍼灸やマッサージでは天柱、風池、完骨などの常用的に治療部位として選択される経穴があります。また、解剖学的な見地から、上述以外の筋肉として頭板状筋、頸板状筋、頭半棘筋、大小後頭直筋、上下頭斜筋などへの刺鍼があります。
治療目的はいずれも筋肉の緊張緩和とそれにともなう血行促進にあります。特に首や肩こりをはじめ、痛み方が「ズキズキ」といった鈍い感じ方のものは、筋肉や軟部組織などの損傷よりも、循環不全が原因の場合が多いと考えられています。だから、血流促進が有効になるのです。
首や肩だけでなく、頭痛や肩甲骨の内側などの違和感も後頸部の施術で緩和されることはよくあることです。
特に捻挫など炎症をおこしている場合は、なおさら患部を直接施術するよりも、まずは少し離れた場所を治療して様子を見た方が、万が一悪化させてしまうようなリスクを低減させられもします。
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