肩こりや首を動かすと首に痛みや不快感があると訴える患者さんには、いわゆる頚椎症や頸肩腕痛と呼ばれる症状に似ている場合もあります。
頚椎症とは退行変性で生じることが多く、頸椎部の神経根を刺激したり循環障害など、単独あるいは複合的な原因が考えられるもので、腕や指にシビレなどの症状もあらわれます。
頸肩腕痛も頸椎症と似たような症状が現れますが、退行変性というよりも上肢の運動にともなう肩関節(主に肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節)のオーバーワークなども原因のひとつと考えられています。
症状の現れ方には個人差がありますが、頚椎症か頸肩腕痛のどちらが考えられるか推察する手段としては徒手検査があります。
主に頸椎を刺激する徒手検査に症状の再現性がみられる場合には頚椎症を推察し、みられなければ頸肩腕痛の可能性を疑います。
鍼灸治療における治療方針としては、いずれの場合も神経根周辺の循環促進や炎症を取り除いたり、違和感を訴える部位の神経走行上を治療点にして鎮痛作用をはかります。
頚椎症の場合には痛みそのものを和らげ、頸肩腕痛の場合には関節部の循環改善や筋肉の緊張を和らげることを目指します。
いずれも痛みを和らげることを第一に考える点では違いはないのですが、患者さんへの機械的刺激による過剰な負担などを考えた場合には、刺鍼部位を変えたり術式を考慮するものです。
また、特に首の動きに不具合が大きいと日常生活にも影響が出てきます。首の後ろ側には多くの筋肉(僧帽筋、頭板状筋、肩甲挙筋、斜角筋ほか)や神経(大・小後頭神経、大耳介神経、頸横神経、鎖骨上神経など)があります。皮膚表面からの刺激が伝わりやすいだけに、自分でマッサージをすると「痛気持ちいい」感覚を得やすい反面、無駄な痛みや違和感が残りやすい部位でもあります。
鍼灸治療は頚椎症や頸肩腕痛の改善に効果が期待できます。
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