「五十肩」の程度と症状

 加齢による退行変性で生じる事がある、運動制限を伴う肩の不調に五十肩があります。ただ、五十肩は疾患名ではなく、広義では腱板炎、石灰沈着性腱板炎、腱板損傷なども含まれ、肩関節周囲炎の一部をさすことがあります。

 

 ただ未だに「五十肩です」と告げる医師もいるので・・・ややこしいですね。

 

 肩関節周囲炎でも特に凍結肩と呼ばれる筋肉の拘縮期に入る前と後では、症状が若干ことなるのも特徴にあります。

 

 拘縮期前は、痛みと筋肉の痙縮による運動制限が生じます。簡単にいうと、肩が痛くて動かせる範囲が狭い時期です。関節包や滑液包に癒着がほとんど生じていない時期と考えられ、腱板炎や滑液包炎の症状がみられる場合もあるといわれています。

 

 痛みの程度は個人差がありますが、ひどい時にはちょっとした不意な動きだけで激痛が走ったり、寝ている時に寝返りで痛みが生じて目を覚ますなんて人もいます。

 

 拘縮期に入ると滑液包などに癒着が生じ、凍結肩(フローズンショルダー)などとも呼ばれます。

 

 鍼治療が五十肩の疼痛緩和にともなう運動制限の改善に効果が期待できると言われていますが、症状の時期や刺鍼部位には配慮が肝要です。特に炎症が強い時期に炎症部位を直接施術すると、不快感を残してしまうことがあるためです。

 

 そういう場合には、痛む部位から離れた肩甲骨まわり、手足、頭、顔などを施術部位にすることがあります。

 

 炎症の症状は腱板→滑液包→関節炎と進行することがあり、あくまでも目安にすぎませんが、滑液包の炎症が見られる頃から疼痛期、関節炎に進むと凍結期などとする参考書もあります。また、滑液包炎様症状が進行すると、徐々に痛みの程度が弱まり拘縮が見られるようになることがあるのも特徴です。そのため人によっては、痛みが治まってきてからも動かせる範囲が狭くなったままの場合もあります。

 

 痛みだけの観点では、時間経過とともに解消されるケースが多いので安心ですが、可動域となると個人差があると考えられています。痛みがおさまるのをただ待つのではなく、痛みが生じている段階でも鍼、マッサージ、温熱療法などをしながら適度に関節を動かし、安静にしっぱなしは必ずしも良くない事を知っておくといいでしょう。

 

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