鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師が治療などに用いるツボ(経穴)には、テレビや雑誌などでは紹介されないようなものがあり、むしろ、その方が多いといえます。特に伝統的な東洋医学を治療に取り入れる鍼師やマッサージ師の場合、施術者が用いる理論によって選ぶツボが全く異なることもあります。
伝統的な東洋医学を参考にした、ツボの選び方の理論で代表的なものとして「五行穴」「五兪穴」「五要穴」「下合穴」「交会穴」「五会穴」「八会穴」など他にも多数あり、さらにそれらに該当するツボを組み合わせたり応用した理論には「難経六十九難」「難経七十五難」「剛柔論」「五味論」「経筋」など、これまた他にも多数あります。
ツボそのものに、何かしらの効用があるとされている場合、専門的には「阿是穴」「穴性」「特効穴」などと呼ぶものがあります。これは臨床経験に基づく事が多かったりするので、伝統的な東洋医学の理論では見つけられないことがあります。
鍼灸師やマッサージ師が治療を行う前に、特定のツボを確認することがあります。これは「反応点」といって、そのツボの硬さや患者さんの反応を確認して原因や治療するツボを考察する目的で用います。反応点を治療するツボにする場合もあれば、治療する際のツボは別の場合もあります。
鍼は筆者ら専門家でないとできませんが、お灸やマッサージなら誰でもできます。理論を学ぶのはハードルが高すぎるでしょうから、まずは雑誌などで紹介されるツボを試してみて、さらに興味を抱いたり、別のツボを試してみたいと思ったら、鍼やマッサージを受ける時に、術者に聞いてみるといいでしょう。
ただ、最近では現代鍼灸といって、解剖学などの現代医学を基礎にしてツボ名を知らないマッサージ師や鍼師が増えているため、そういった人に当たったら「ツボ名」までは答えてもらえないかもしれません。
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