鍼やマッサージが国家資格だということはあまり知られていません。また、伝統的な東洋医学をウサン臭く思っている人も少なくありません。
そこで、過去の国家試験でどのような問題が出題されたことがあるかを一部紹介します。
今回のテーマは疲労と倦怠です。鍼やマッサージを受ける患者さんの主訴としては、腰痛や肩こりと同じぐらい多いのではないでしょうか。一言で「だるい」と表現されることもありますが、東洋医学が得意とする症状のひとつでもあります。
問)次の文で示す患者の病証に対する治療方針で最も適切なのはどれか。「53歳の男性。職業は中華料理店の調理人。主訴は手足の重だるさと胃のつかえ。大便は泥状で小便は色が濃い。舌質は紅、舌苔は黄膩、脈は濡数。」(第26回 あん摩マッサージ指圧師国家試験)
答)湿熱を除く(舌の状態に熱症状がみられ、舌苔と泥状便が湿によるものと推察する。)
問)「28歳の女性。第一子を出産したが、乳房の張り感はなく、母乳の出が悪い。産後の疲労感はある。なお、出産時には出血量が多かった。顔色はくすんだ黄色、舌質は淡白、脈は虚細。」本症例で最も考えられる病証はどれか。(第24回 はり師・きゅう師国家試験)
答)気血両虚(脈は典型的な虚)
問)「28歳の女性。第一子を出産したが、乳房の張り感はなく、母乳の出が悪い。産後の疲労感はある。なお、出産時には出血量が多かった。顔色はくすんだ黄色、舌質は淡白、脈は虚細。」本症例の乳汁分泌を促す頻用されている経穴はどれか。(第24回 はり師・きゅう師国家試験)
答)膻中
問)70歳の男性。持病はないが最近疲れやすい。汗をかきやすく尿失禁がみられるようになった。回復を図るべき正気の作用はどれか(第20回 あん摩マッサージ指圧師国家試験)
答)固摂作用(固摂作用とは、人体に必要な物質などが漏れ出ないようにする働きのこと)
問)57歳の女性。閉経は54歳。最近、顔のほてりと発汗が頻発し、耳鳴り、めまい、手足のほてり、腰部の重だるさ、肩こりを随発し受診した。ホルモン検査で異常が指摘された。舌質は暗紅、舌苔は少なくやや乾燥。脈は細数。小腹不仁が認められた。」患者の病証への治療方針で適切なのはどれか(第23回 はり師・きゅう師国家試験)
答)腎陰を補う(腹診から腎虚がうかがえる。手足のほてり、舌苔が少なく乾燥気味は腎陰虚がうかがえます)
ここでは詳細な解説は省略しますが、東洋医学はれっきとした学問であり治療原則や治療方針の考え方が存在することをご理解いただけたのではないでしょうか。
医師から原因不明と言われる症状などでお困りの方で、東洋医学的な治療を経験したことが無い人は、鍼やマッサージの治療を試してみることをおすすめします。
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