マッサージ、臥位も考慮にいれて

 臥位とは、いわゆる「寝姿勢」のことで仰向けのことを仰臥位(背臥位)、横向きを側臥位、うつぶせを伏臥位(腹臥位)などと呼びます。

 

 マッサージなどで施術をする場合、施術対象部位や状態によって、どの姿勢をとってもらうのが患者さんにとって楽で効果的かを考えます。同時に安全性という観点も忘れてはいけません。

 

 例えば、背中から腰にかけて不調を訴える患者さんで脊椎に不具合が推測される場合、うつ伏せの状態で施術をすると首に痛みを訴える場合があります。かといって、仰向けの姿勢ではなかなか効率的かつ効果的な施術ができないばかりか、マッサージ師ら施術者にかかる負荷が大きくなってしまうのも好ましくありません。

 

 その他、胸腹部を圧迫できない事情がある方、妊婦さんなどにもうつ伏せの姿勢をとらせるのが難しい人などもいます。

 

 特にそういった方々への施術ではいわゆる「横向き(側臥位)」の姿勢が適している場合が多かったりします。

 

 横向き姿勢での施術に慣れていない施術者は意外に少ないものです。寝たきりの高齢者やリハビリテーション施設などでの施術経験がある人ならば、むしろ得意にしている人もいるでしょうが、そういった環境をあまり経験していない施術者は積極的に横向きの姿勢でマッサージをしようとしないものです。

 

 まして、いわゆる「もみほぐし」などのリラクゼーション施設には、施術者に対して「横向き施術禁止令」を出しているところもあるぐらいです。その理由には安全性と手技(技術力)にバラつきが生じやすいなどとも言われています。

 

 横向きの姿勢には多くのメリットがあります。部位によっては、うつ伏せや仰向け以上に筋緊張を軽減させられる状態がつくれます。すなわち、「施術しやすく、受けやすい」状態になるため、さらなる効果が期待できます。また、肩や腕の施術によっては、体位変換をさせずに運動法へ移行できることもあります。

 

 筋肉や神経は重力も含めた外部から負荷に対して抵抗する働きが作用します。いいかえれば、姿勢を保つうえで不可欠な反応といえます。マッサージやあん摩、指圧をする場合、こういった生体反応も考慮して負荷をかけるスピードや量を調整するものですが、横向きの姿勢では調整がしやすかったりします。

 

 マッサージは技術も大切ですが、患者さんと施術者の体位や姿勢といった要素も効果に影響すると考えています。

 

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横から見ると分かる脊椎の湾曲
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