ファシアは「筋膜」として一括りにとらえられがちですが、筋肉だけでなく骨や血管や臓器なども覆っています。ですから、筋膜はファシアのひとつということになります。
筋肉痛に似た症状の中にはファシアに炎症が生じているケースが確認できたという研究報告があります。これはどういうことかというと、これまで「いわゆる筋肉痛は筋繊維の炎症が主」と考えられていた認識を見直すきっかけになったことを意味します。
マッサージなどで「筋膜リリース」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。実際、筋肉にファシアが密着していると柔軟性が損なわれていることは分かっていて、改善のために医療機関による「ハイドロリリース」という治療法もあります。
ただ、ハイドロリリースで全て解決するというものではなく、あくまでも症状を緩和させるという意味での効果は一時的にすぎません。
ポイントは治療効果が出ている状態に、痛みを軽減させながら無理なく運動をする(可動域を広げる)ことができることにあります。
調査研究による科学的根拠が後付けになる部分もありますが、ファシアとの関連性を連想させる人体構造の概念や術式は存在しています。例えば「テンセグリティ」や「結合織マッサージ」などでもそのひとつではないかと筆者は考えています。
また、鍼やマッサージだけではなく、鍼やカッピング(吸玉、吸角)にも「筋膜(ファシア)リリース」の効果があるのではないかと考えられています。