「臭覚刺激が皮膚の機能にかかわっている」などと言われてもピンとこない人もいるでしょうが、美容鍼やエステなどスキンケアにかかわる仕事をされている方、あるいは芳香にかかわるセラピストならば知っている人もいるでしょう。
臭覚刺激が情動に影響を及ぼすことは、さまざまな研究報告があり、香りを用いた代替医療のひとつにアロマテラピーが知られています。
(さまざまな代替医療の効果について、厳しい評価が書き綴られた著書「代替医療解剖(著者:サイモン シン, エツァート エルンスト/翻訳:青木 薫/出版:新潮社)」においても、「アロマテラピーは、一部の芳香に何かしらの医療的な効果が期待できる」旨の評価をしていました。ただ、芳香と皮膚機能との関連性については取り上げていなかったと記憶しています)
臭覚刺激と皮膚の関係については、日本を代表する化粧品メーカーの研究室におられた方が、興味深い研究結果を報告をしています。
それは、特定のバラで確認された「ジメトキシメチルベンゼン」という分子構造で、発見した蓬田勝之氏の研究グループが「ティーローズエレメント」と命名したそうです(くわしくは、こちらのサイトをご覧下さい→「蓬田バラの香り研究所 https://www.baracolle.jp/hpgen/HPB/entries/13.html」)
鎮静効果はもちろん、皮膚の角質層が持つバリア機能の回復力向上に作用するということが研究で明らかになったというのですから驚きです。
筆者がジメトキシメチルベンゼンによる臭覚刺激と皮膚の関係をはじめて知ったのは数年前で「皮膚は考える(著者:傳田光洋氏、発行:岩波書店)」という著書でした。皮膚の構造や作用について科学的かつ理論的に記された著書ではありますが、一般の方でも比較的分かりやすく、読みやすく書かれているほうだと思います。